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健保・厚生年金の適用事業所に「使用される」人は、その人の意思・地位・性別・年齢・収入・国籍を問わず、一部の例外(臨時に使用される人など)を除き、すべて健康保険・厚生年金保険の被保険者となる。
「使用される」とは、事実上の使用関係を意味するものであり、労務の提供の有無及びその報酬の支払関係、人事労務管理の有無などによって実態的に判断されるものである。
一般的に、保険者側の見方は、日本の子会社や支店が直接本人に金銭給与を支払っているか
どうかを重要視しており、実際にはそれのみで判断していると言っても過言ではない。
最終的な加入の判断は保険者が行うものであり、ルールや基準による一定の答えは出てこない
が、一般的には、金銭払いがなく現物給与のみ支給を受けているようなエクスパットの場合は、保険加入を要しないと判断されるケースが多いようである。
もちろん、社会保障協定の相手国から赴任しているエクスパットについては、厚生年金保険または健康保険の加入が免除される可能性があるため、事前に免除対象となる保険の種類を確認
し、派遣元国の会社または本人を通じて相手国の保険者が発行する加入証明書を入手しておく必要がある。
東京労働局職業安定部が発行する事務手引書による説明は次のとおりである。
日本国に在住し、合法的に就労する外国人は、国籍(無国籍を含む。)のいかんを問わず被保険者となる。だたし、外国公務員および外国の失業補償制度の適用を受けていることが立証された者は被保険者とはならない。 |
実際に、ハローワークの窓口において外国の失業補償制度の適用を受けていることの立証は求
められないため、外国の失業補償制度に加入していることを日本の受入企業側が認識できてい
れば、その事実をもって被保険者資格取得届を提出しない、というのが現実の事務処理である。
もちろん、外国の失業補償制度に加入していないエクスパットであれば、被保険者資格取得届を提出することで日本での雇用保険加入は認められる。
各国との社会保障協定によれば、ベルギー、オランダ、チェコ、ハンガリーについては、その協定により、相手国の雇用保険制度に加入していれば他方の国では雇用保険加入が免除される仕組みになっているが、ハローワーク側では社会保障協定をあまり意識しておらず、二重加入にならないような自主的判断をされているようである。
エクスパットの日本での活動内容は様々であり、その業務が日本の事業主の指揮命令下にお
けるものもあれば、出向元である海外の事業所からの命令であることもある。
業務災害が起きた場合は、その業務命令が誰のものかによってケースごとに労災保険の対象
か非対象か判断されるものである。
毎年の労働保険料の対象賃金に加えるべきかどうか議論されるところであるが、エクスパットは民間の海外傷害保険などに加入していることが多く、実務上は対象賃金に加えていないケースが多い。
仮にエクスパットの賃金を保険料算定対象に含めていない場合でも、実際に日本側の指揮命令
による業務中に労災事故が起きた場合は、その事故に対する給付を受けられるものであり、こ
の場合、未納であったエクスパットの賃金に対する保険料は遡及して支払うことになる。