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国際出向社員の人事労務上の留意点
(海外から日本編)
「帰国前後の事務処理」

(1) 手続の概要

エクスパットが帰任により出国することとなった場合、給与、社会保険関連では以下の事務処理が必要となる。

 

《所得税》

 

【年末調整】

その年の1月1日から出国までの間に確定した日本国内で支払われた給与所得について年末調整を行う(計算方法は通常の12月に行う年末調整と同じ)。


【確定申告】
海外から支払われていた給与がある場合は、その海外払い給与にかかる所得税の清算を行うため、原則として出国日までに確定申告を行う必要がある。ただし、納税管理人の届出を税務署に提出することによって、翌年3月15日まで申告期限が延長される。

 

【予定納税減額申請】

予定納税対象者の場合は、第1期分(納付期限7月31日)及び第2期分(納付期限11月30日)の減額申請については、その年の7月1日から7月15日までの間に、第2期分のみの減額申請については、その年の11月1日から11月15日までの間に予定納税の減額申請書を税務署に提出する必要がある。

 

《住民税》

 

【当年度住民税】

特別徴収により毎月納付している場合で、次の5月までの納付額が残っている場合には、特別徴収により最終給与で一括徴収する必要がある。

 

【新年度分住民税】

1月から5月までに出国する場合で、その年の1月に日本で住民登録のあった者については、6月以降の新年度分住民税についても納付義務があるため、出国日までに管轄の市区町村役所に納税管理人の届出を提出し、納税管理人を通じて新年度分の住民税を支払う必要がある。

 

《年金脱退一時金》

 

厚生年金に加入していたエクスパットが帰任に伴い出国する場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内であれば年金の脱退一時金を請求することができる。


【受給要件】
a) 被保険者期間が6ヶ月以上あること
b) 日本国籍を有しない者であること
c) 老齢厚生年金などの年金の受給権を満たしていないこと


ただし、次のいずれかに該当した場合は脱退一時金を請求することができない。
・国民年金の被保険者となっているとき
・日本国内に住所を有するとき
・障害厚生年金などの年金を受けたことがあるとき
・最後に国民年金の資格を喪失した日から2年以上経過しているとき

(ただし、資格を喪失した日に日本国内に住所を有していた人は、同日後に初めて、日本国 内に住所を有しなくなった日から2年を起算する)


【受給額の目安】
被保険者期間に応じて、本人が支払った保険料総額の約3年分を上限とした額(最高約200万円程度)


【所得税還付請求】
厚生年金の脱退一時金は、支給の際に20.42%の源泉徴収所得税が源泉徴収されているので、これの還付を受けるためには出国前に「納税管理人」を定めておく必要がある。

 

(2) 帰国後の給与処理

出国日の翌日から非居住者となるので、たとえ居住者であった期間に対する金銭給与や現物給
与であっても、出国日の翌日以降に支払う給与については20.42%の税率で源泉徴収を行う必
要がある。

 

[居住形態の判断]
その給与支給時の居住の実態により、居住者か非居住者かを判断する。その給与の発生原因が
居住者期間であったかどうかを考える必要はない。

 

[課税所得の区分]
その給与が日本勤務に基づくものであれば「国内源泉所得」、海外勤務に基づくものであれば「国外源泉所得」となる。

 

事例①

3年間日本で勤務したエクスパットが、9月30日に出向元企業のあるアメリカへ帰任した。その後、本人が使用した水道電気代の最後の請求(50,000円)が届き、会社は10月に入ってから本人に代わってすべて支払いをした。
⇒給与(会社が本人の水道光熱費を負担したという経済的利益)を支給した時点の居住形態
は「非居住者」であり、国内勤務時に受けた利益であるから「国内源泉所得」に該当する。 したがって、20.42%の税率でグロスアップ計算が必要となる。

 

《計算過程》

正味の現物給与額50,000円÷(100%-20.42%)=62,829円
62,829円×20.42%=12,829円→納付すべき源泉所得税(11月10日までに納付)

 

 

事例②

〔事例①〕のエクスパットに対し、出国年の7月1日から12月31日までの勤務に対する賞与が 確定し、翌年1月にその全額がアメリカ側で払われた。

⇒日本勤務に基づく部分のみが国内源泉所得に該当するため、上記例では全体の約半分が

日本での課税所得となる。

 

《納付方法》


[ケース1] 日本の当社が、アメリカ企業(外国法人)の日本支店または駐在員事務所の場合
→日本の当社において20.42%で源泉徴収する(納付期限は翌月末日)。


[ケース2] 日本の当社が、日本法人の場合
→賞与を受け取った本人が、日本で準確定申告により翌年3月15日までに賞与に対する所得
税を20.42%の税率で申告納付する。仮にその税額を日本法人が負担して支払った場合
は、その税金の支払いも給与となるため、その税金に対して20.42%の税率でグロスアッ プする必要がある。

 

 

 

[ケース2]において日本勤務に基づく賞与額が100万円だった場合の納税の流れ)


・1,000,000円×20.42%=204,200円(A)
これを本人(または納税管理人)が申告納付


・(A)の支払いを日本法人が行った場合
204,200円÷(100%-20.42%)=256,597円
256,597円×20.42%=52,397円
52,397円を日本法人が源泉納付する(納付期限は翌月10日)

 

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